|
|
|
|
|
|
日本株2026年2月20日

日本製鋼所の覚醒:9%急騰の裏にあるファンダメンタルズと投資家の熱視線

Japan Steel Works, Ltd.5631
日本株

重要な要約

日本製鋼所(5631)が突如として9.2%の急騰を見せ、市場の注目を集めています。RSIは上昇余地を示唆しつつ、第3四半期の増収増益決算がその勢いを裏付けています。産業機械事業の好調さと個人投資家の強気なセンチメントが交錯する中、この「巨象」の動きは本物なのか、テクニカルとファンダメンタルズの両面から詳細に紐解きます。

株式市場において、時として「眠れる巨人」が目を覚ましたかのような劇的な動きを見せることがあります。今、まさにその渦中にあるのが日本製鋼所(5631)です。2026年2月17日、日経平均株価が堅調に推移する中で、同社の株価は前日比9.2%という驚異的な急騰を記録し、終値で9,904円をつけました。大型株でありながら、まるで新興成長株のようなボラティリティを見せたこの動きは、多くの投資家のスクリーンに同社の存在を強く焼き付けることとなりました。単なる投機的なマネーゲームなのか、それとも企業価値の再評価が始まったのか。経験豊富な投資家であれば、この急動意の背後にある「根拠」を探りたくなるはずです。

まず、投資判断の羅針盤となるテクニカル指標から現状を冷静に分析してみましょう。現在のRSI(相対力指数、14日ベース)は61.19を示しています。一般的にRSIは70を超えると「買われすぎ」、30を下回ると「売られすぎ」と判断されますが、現在の60台前半という数値は非常に興味深い水準です。これは、上昇トレンドの勢い(モメンタム)が十分に強いことを示しつつも、まだ過熱感によって警報が鳴る危険水域には達していないことを意味します。つまり、テクニカル的には「上昇余地を残した強気相場」と解釈できるのです。一方で、最近の変動率が9.2%と極めて高い点には注意が必要です。これほど大きな変動は、短期的な利益確定売りを誘発しやすく、株価の乱高下を招く可能性があります。AIによる分析スコアが「40」というやや慎重な数値を示しているのも、この短期的な過熱感やボラティリティのリスクを織り込んでのことかもしれません。

しかし、株価を動かす本質的なエンジンであるファンダメンタルズに目を向けると、この上昇が決して根拠のないものではないことが分かります。2月8日に発表された2026年3月期第3四半期決算は、市場に安心感と期待感をもたらしました。売上高は前年同期比16.4%増の2,011億円、営業利益は2.9%増の175億円と、しっかりとした増収増益を達成しています。特筆すべきは、同社の収益構造の変化です。社名に「製鋼所」とありますが、現在の成長を牽引しているのは素形材・エンジニアリング事業に加え、プラスチック加工機械などの「産業機械事業」です。世界的な設備投資需要の波に乗り、これらのセクターが収益の柱として機能し始めていることが、過去12四半期にわたる売上の右肩上がりトレンドからも見て取れます。

市場環境も追い風となっています。日経平均全体が上昇基調にある中、AI関連や半導体関連への投資が一巡し、資金が割安感のある重厚長大産業や、独自の技術力を持つ企業へと還流し始めています。アナリストの一部からは、同社を将来の「マルチバガー(数倍株)」候補として推す声も聞かれます。Simply Wall Stなどの分析機関は、同社の債務管理が良好であることや、将来的な成長率を11.8%と予測している点などを評価しています。また、自己資本比率が48.5%と財務の健全性が高いことも、中長期的な投資対象としての安心材料と言えるでしょう。ROE(自己資本利益率)も9.70%と、日本企業の目標とされる8%を超えており、資本効率を意識した経営が定着しつつあることが伺えます。

投資家心理、いわゆるセンチメントもかつてないほど高揚しています。直近1週間のユーザー感情調査では、驚くべきことに81.82%が「強く買いたい」と回答しており、「売り」の感情はほぼ皆無という状況です。信用倍率が7.67倍と需給面での改善も見られ、多くの投資家がさらなる上値を期待していることが分かります。ただし、配当利回りが0.9%前後と、高配当を好む日本の投資家にとってはやや物足りない水準であることは留意すべきでしょう。インカムゲイン(配当収入)ではなく、あくまでキャピタルゲイン(値上がり益)を狙う銘柄としての性格が強まっています。

では、これらを踏まえて投資家はどう動くべきでしょうか。最大の焦点は、心理的な節目である「1万円」の大台を明確に突破し、定着できるかどうかにあります。9.2%の急騰は強力な買いシグナルですが、同時に短期筋の利食いポイントでもあります。RSIがまだ過熱域に達していないことから、押し目(一時的な下落)があれば、そこは中長期視点でのエントリーチャンスになる可能性があります。産業機械事業の好調さが構造的なものであるならば、今回の上昇は一過性のものではなく、新たな成長フェーズへの入り口かもしれません。

結論として、現在の日本製鋼所は「モメンタム」と「実績」が噛み合った稀有な局面にあります。ただし、分析スコアが示すような慎重な見方も無視せず、ポートフォリオの一部としてリスク管理を行いながら向き合うのが賢明です。1万円の壁を超えた先に広がる景色は、これまでの重厚長大産業のイメージを覆す、新たな成長ストーリーとなる可能性を秘めています。

本レポートはInverseOneが分析した資料です。投資判断の最終責任は投資家本人にあります。本レポートは投資アドバイスではなく、参考資料としてのみご利用ください。過去の実績は将来の収益を保証するものではありません。

日本製鋼所の覚醒:9%急騰の裏にあるファンダメンタルズと投資家の熱視線 | 인버스원