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日本株2026年2月11日

「切る・削る・磨く」の独占力:ディスコ(6146)がAIと次世代パワー半導体で見せる圧倒的優位性

DISCO Corporation6146
日本株

重要な要約

半導体製造装置の雄、ディスコ(6146)がAIブームと次世代素材の波に乗り、新たな上昇局面を迎えています。テクニカル指標が示す強いモメンタムと、HBMやGaNといった最先端分野での独占的な技術力、そして市場が注目するリスクと機会について、投資家視点で詳細に分析します。

株式市場において、特定の技術分野で「他社が追随できない独占的地位」を築いている企業ほど魅力的な投資対象はありません。半導体製造装置メーカーであるディスコ(6146)は、まさにその典型例と言えるでしょう。「切る(Kiru)・削る(Kezuru)・磨く(Migaku)」という、一見シンプルでありながら極めて高度な精密加工技術において、同社は世界シェアの約8割を握るガリバー企業です。足元の株式市場では、日本の選挙通過後の安心感から株価が急伸し、2月11日には12.6%もの上昇を記録しました。本稿では、テクニカルなシグナルとファンダメンタルズの両面から、なぜ今ディスコがこれほどまでに注目されているのか、その深層に迫ります。

まず、株価の動きをテクニカル分析の視点から紐解いてみましょう。現在のRSI(相対力指数・14日)は68.91を示しています。一般的にRSIが70を超えると「買われすぎ」と判断されますが、現在の水準はその寸前であり、極めて強い上昇トレンドの中にあることを示唆しています。これは単なる過熱感ではなく、押し目買い意欲の強さが下値を支えつつ、上値を追う展開が続いている証拠です。さらに、独自の分析スコアは「88」という極めて高い数値を記録しており、市場参加者のセンチメントが強気に傾いていることが読み取れます。直近の変動率が4.35%プラスであることも、短期的な資金流入が活発であることを裏付けています。ただし、RSIが70に接近している局面では、一時的な利益確定売りによる調整が入る可能性も否定できません。投資家としては、この勢いに乗る一方で、短期的なボラティリティ(変動)に対する警戒心も併せ持つ必要があります。

ディスコの強さを支えるファンダメンタルズの核心は、AI半導体と次世代パワー半導体への不可欠な関与にあります。現在、市場を席巻しているNVIDIAのGPUに代表されるAIチップには、HBM(広帯域メモリ)が搭載されています。このHBMを製造するためには、シリコンウエハーを極限まで薄く削り、積層する技術が必要不可欠であり、ここではディスコのグラインダ(研削装置)が独壇場となっています。さらに、投資家の熱視線を集めているのが「GaN(窒化ガリウム)」という次世代パワー半導体素材です。GaNは従来のシリコンに比べて電力損失が少なく高性能ですが、非常に硬く脆いため加工が困難です。最新の業界動向によれば、このGaNウエハーの加工において、他社製品では裁断が不可能であり、ディスコの装置が独占的な地位を確立しているとの声が上がっています。EV(電気自動車)向けのSiC(炭化ケイ素)に加え、データセンターの省電力化に寄与するGaNの需要急増は、同社にとって中長期的な強力な追い風となるでしょう。

業績面でもその堅調さは際立っています。直近の決算データ(2025年4-12月期)において、営業利益は前年同期比9.7%増の1,262億円を記録しました。円高やトランプ政権による関税懸念といったマクロ経済の逆風が吹く中での増益は、同社の製品競争力がいかに高いかを物語っています。また、会社側は通期の営業利益見通しを前期比3.2%増の1,721億円としており、慎重ながらも着実な成長を見込んでいます。加えて、発行済み株式数の2.05%にあたる上限50億円の自社株買いを発表している点も、株主還元への積極的な姿勢として好感されています。ROE(自己資本利益率)も27.64%と日本企業としては極めて高い水準を維持しており、資本効率の良さも投資家を引きつける要因となっています。

一方で、リスク要因についても冷静に目を向ける必要があります。PBR(株価純資産倍率)は約9.8倍と、市場平均と比較して割高な水準にあります。これは将来の成長期待がすでに株価に織り込まれていることを意味し、決算で市場の期待をわずかでも下回れば、株価が大きく調整するリスクを孕んでいます。また、為替レートの変動も無視できません。輸出比率が高い同社にとって、急速な円高進行は業績の下押し圧力となります。さらに、米国の通商政策や地政学的リスクが半導体サプライチェーン全体に及ぼす影響も注視が必要です。掲示板等では「株価80,000円突破」といった強気な声も聞かれますが、アナリストの平均目標株価は約55,511円となっており、現在株価からの上値余地は約18%程度と見られています。

結論として、ディスコは現在の半導体市場において、AIとパワー半導体という二つのメガトレンドの「交差点」に位置する稀有な銘柄です。「切る・削る・磨く」というニッチかつ高度な技術領域での独占力は、他社が容易に模倣できない深い「堀(Moat)」となっています。短期的にはRSIが高水準にあるため、過熱感からの調整局面があるかもしれませんが、GaNやHBMといった構造的な需要増を背景に、押し目は長期的な視点でのエントリーチャンスとなる可能性が高いでしょう。投資家は、日々の株価変動に一喜一憂するのではなく、AI社会のインフラを支える同社の技術的優位性が崩れていないかを確認しつつ、慎重かつ大胆にポジションを検討すべき局面にあると言えます。

本レポートはInverseOneが分析した資料です。投資判断の最終責任は投資家本人にあります。本レポートは投資アドバイスではなく、参考資料としてのみご利用ください。過去の実績は将来の収益を保証するものではありません。