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日本株2026年1月2日

SCREENホールディングス:需給好転と半導体相場の波に乗る「隠れた主役」の行方

Screen Holdings Co., Ltd.7735
日本株

重要な要約

SCREENホールディングスは直近で日経採用銘柄の上昇率トップを記録するなど、半導体セクターの中で際立った強さを見せています。第2四半期決算は減益ながらも、信用倍率の改善による「踏み上げ」期待や、割安なPER水準が見直し買いを誘発しています。テクニカル指標が過熱感を示唆する中で、投資家は新春相場への期待と次期決算のリスクをどう天秤にかけるべきか、その深層を分析します。

株式市場には時折、ファンダメンタルズの直近の数字だけでは説明がつかない、力強い上昇気流に乗る銘柄が現れます。2024年の年末から2025年にかけてのSCREENホールディングス(7735)は、まさにその典型例と言えるかもしれません。半導体洗浄装置で世界トップシェアを誇る同社は、直近の取引で株価15,000円の大台を回復し、投資家の熱い視線を集めています。東京エレクトロンやアドバンテストといった巨大企業の影に隠れがちだったこの銘柄が、なぜ今、日経採用銘柄の上昇ランキングで首位に立つほどのパフォーマンスを見せているのか。その背景には、テクニカルな強さと需給バランスの劇的な変化、そして市場心理の巧みな交錯があります。

まず、現在の株価動向をテクニカル分析の視点から紐解いてみましょう。投資家の心理状態や相場の過熱感を測る重要な指標であるRSI(相対力指数)は、現在69.98という数値を示しています。一般的にRSIは70を超えると「買われすぎ」と判断され、調整局面入りが警戒されるラインです。しかし、現在のSCREENの数値は、まさにその境界線ギリギリに位置しており、これは二つの解釈を可能にします。一つは、短期的な過熱感から利益確定売りが出やすい水準であるという警告。もう一つは、70に迫るほどの強い買い圧力が継続しており、上昇トレンドが極めて強固であるという事実です。分析スコアが61という「やや強気」の水準にあることや、直近の変動率がプラス1.63%と堅調に推移していることも、市場のセンチメントが依然として強気側に傾いていることを裏付けています。

この株価上昇のドライバーとなっているのは、単なる業績期待だけではありません。より興味深いのは「需給バランス」の変化です。最新の市場データによると、信用倍率は3.38倍となっており、特筆すべきは信用売り残(空売り)の急増です。株価が上昇基調にある中で売り残が増えるということは、株価の下落を見込んで空売りを仕掛けた投資家たちが、予想に反して株価が下がらないために苦しい立場に追い込まれていることを示唆します。彼らが損失を確定させるために株式を買い戻す動き、いわゆる「ショートカバー(踏み上げ)」が発生すれば、それが新たな燃料となり、株価を一段高へと押し上げる可能性があります。掲示板などで「売り方が焼かれる」といった表現で需給改善が指摘されているのは、まさにこのメカニズムへの期待が高まっているからです。

一方で、ファンダメンタルズ、つまり企業の基礎的条件に目を向けると、状況は必ずしもバラ色ではありません。2026年3月期第2四半期の決算では、売上高が前年比1.1%減、営業利益に至っては20.2%減という厳しい数字が並びました。主力の半導体製造装置事業における減収や固定費の増加が響いた形です。通常であれば、これほどの減益決算は株価の急落を招いても不思議ではありません。しかし、株価は逆に上昇しています。これは、株式市場がいかに「未来」を織り込んで動く生き物であるかを物語っています。投資家たちは、足元の減益を「一時的な踊り場」と捉え、その先にある半導体市況の本格回復や、AI需要の拡大に伴う先端パッケージ向け装置の成長を見据えているのです。

また、バリュエーション(株価評価)の観点からも、SCREENには割安感があります。予想PER(株価収益率)は約14.6倍と、成長著しい半導体セクターの中では比較的落ち着いた水準にあります。市場のアナリストによる目標株価が15,269円近辺に設定されていることや、一部の強気な個人投資家が20,000円超えを期待している背景には、この「出遅れ感」の修正余地があると考えられます。特に、SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の高騰や、米国市場におけるハイテク株への資金回帰の流れは、日本市場の半導体関連株にとっても強力な追い風となっています。

しかし、投資家として冷静さを失ってはならないポイントも存在します。最大のリスク要因は、1月下旬に予定されている第3四半期決算です。現在の株価上昇は、あくまで「先々の回復」を期待して買われている側面が強く、もし次回の決算で会社側の見通しが市場の期待を下回るようなことがあれば、失望売りが一気に膨らむ可能性があります。また、RSIが70に達しようとする局面では、些細な悪材料でも利益確定の売りが連鎖しやすくなります。トランプ次期政権による関税政策などの地政学的リスクも、半導体業界全体にとって無視できない不確定要素です。

結論として、現在のSCREENホールディングスは、需給主導の強力な上昇トレンドの中にあり、短期的なトレーディングの観点からは非常に魅力的な局面にあります。空売りの買い戻しを巻き込んだ「新春相場」への期待は、株価をさらに押し上げるポテンシャルを秘めています。しかし、中長期的な視点で投資を行う場合、現在の株価が足元の減益決算を飛び越えて将来の成長を先取りしているという事実を忘れてはいけません。15,000円という心理的節目を固め、さらなる高みを目指せるかどうかは、需給相場から業績相場へとスムーズにバトンタッチできるかにかかっています。今は強気の波に乗りつつも、1月決算というイベントリスクを常に意識し、出口戦略を持った上での市場参加が賢明と言えるでしょう。

本レポートはInverseOneが分析した資料です。投資判断の最終責任は投資家本人にあります。本レポートは投資推奨ではなく、参考資料としてのみご利用ください。過去の実績は将来の収益を保証するものではありません。