上昇期待の銘柄をデータで先に発掘

No.208 · Aug 8, 2026 (Sat)

PEGの計算法:成長まで織り込んで割安を見直す

PERだけを見ると成長株はいつも高く見える。利益が速く伸びる会社は、将来の利益が先に価格へ織り込まれるからだ。PEGはこの歪みを補正する計算だ。PERを年間の利益成長率(%)で割り、成長スピードまで含めるといまの価格がどの程度なのかを測り直す。

割り算一回でよい

式はPEG = PER ÷ 年間利益成長率(%)。例えばPER30倍の銘柄の利益が毎年30%ずつ伸びているなら30 ÷ 30 = 1.0。PER10倍で成長率5%なら10 ÷ 5 = 2.0になる。見かけのPERは前者が3倍高いのに、成長まで入れて見るとむしろ前者の方が安い計算になる。

通常、1.0を下回れば成長に比べて安い、2.0を超えれば成長を織り込んでも高いと読む。ピーター・リンチがこの物差しを広めて以来、成長株を見るときに最もよく使われる計算の一つになった。

成長率の数字はどこから取るか

分母になる利益成長率は気配画面にないことが多く、自分で求める必要がある。最も手軽なのは開示資料で、直近の報告書から営業利益や純利益の2~3年の推移を見て年平均の伸び率を見積もる方法だ。証券会社レポートの利益予想を使えば、将来の成長率基準のPEGになる。

どちらを使うにせよ、基準をそろえることが重要だ。過去の成長率で計算したPEGと予想で計算したPEGは値が大きく違うことがある。複数の銘柄を比べるときは、同じ方式で求めた成長率だけを使わないと順位付けの意味がなくなる。

この計算の罠

第一に、成長率は先へ行くほど不安定な数字だ。過去3年の30%成長が次の3年も続く根拠はどこにもない。成長が折れた瞬間、PEGは一気に悪化する。第二に、一度きりの利益で成長率が跳ねるとPEGが実際より良く見える。資産売却のような一時的な項目は除いて見るべきだ。

第三に、成長率がゼロに近い会社は分母が小さく、PEGが無意味に大きくなる。そうした銘柄はPEGの代わりにグレアム数や配当基準で見る方がよい。計算法ごとに合う銘柄のタイプが違うという点が、このシリーズの核心だ。

よくある質問

PEGが1.0以下なら買ってよいのか?
いいえ。1.0は成長に比べて価格が低いというシグナルにすぎない。その成長が続き得るか、利益の質は良いか、資金が入ってくる方向かを併せて確認してから判断するのが正しい。
赤字から黒字に転換した会社のPEGは?
黒字転換の初年度は成長率が数百パーセントに跳ねてPEGが歪む。転換後2~3年の利益の推移が積み上がってから計算するのが安全だ。

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