マジックフォーミュラのなぞり方:二つの順位を足す
マジックフォーミュラという名前のせいで秘法のように聞こえるが、実体は順位を二つ足す算数だ。安く取引されている度合いで一回、稼ぐのが上手い度合いで一回、全銘柄を並べ替えたうえで、二つの順位の合計が小さい銘柄から見ていく方式だ。安くて同時に商売の上手い会社を機械的に選び出そうとする計算になる。
元の式の構造
グリーンブラットの元の式は二つの指標を使う。一つは益回りで、企業価値に対して営業利益がどれだけ出ているかだ。PERの逆数に近い概念で、値が大きいほど安いという意味になる。もう一つは資本利益率で、会社に投じられた資本に対して営業利益がどれだけ出ているかだ。値が大きいほど、同じ元手で稼ぐのが上手い会社になる。
全銘柄を益回り順に並べて順位を付け、資本利益率でも順位を付けて、二つの順位を足す。合計が小さい順がマジックフォーミュラの順位だ。1位の安さと50位の稼ぐ力(合計51)の会社が、30位の安さと30位の稼ぐ力(合計60)の会社より前に来る。
公開指標でなぞる簡易版
元の式の材料である企業価値や投下資本は、財務諸表を直接さわらないと出ない数字で、個人が毎回求めるのは面倒だ。そこで公開された気配指標で骨格だけをなぞる簡易版が広く使われている。安さの軸はPERの昇順ランキングで、稼ぐ力の軸は自己資本利益率(ROE)の降順ランキングで代用する形だ。ROEが手に入らなければPBR ÷ PERで概算できる。PBRをPERで割ると1株純資産に対する1株利益の比率になり、これはROEと同じ構造だ。
例えば三つの銘柄のPERがそれぞれ8倍・12倍・20倍、概算ROEが12%・15%・8%なら、PER順位は1・2・3、ROE順位は2・1・3になる。合計は3・3・6で、前の二つが同率首位、三つ目が後れを取る。銘柄数が増えても計算の構造は同じだ。
注意点と実践の順序
この計算の弱点は業種間の比較だ。金融業のように構造的にPERとPBRが低い業種が上位を席巻しかねず、元の式も金融と公益の業種は除いて回す。同じ業種の中で並べ替えるか、業種が一方に偏っていないかを確認する手順が必要だ。
実践の順序はこうだ。発掘画面の割安リストでPERランキングを作り、各銘柄詳細でPBRを確認して概算ROEランキングを足す。合算上位の銘柄だけ残したうえで、資金フローと放置指数で市場の関心がどちらへ動いているかを確認する。順位の合算は候補を絞る道具で、判断の根拠はその後の確認から出てくる。
よくある質問
- マジックフォーミュラどおりに買えば利益が出るのか?
- いいえ。原著者自身も、数年単位で市場に後れを取る区間があると明かしている。この計算は安くて商売の上手い会社を機械的に選び出す出発点であって、結果を約束する装置ではない。
- 何銘柄まで絞るのが適当か?
- 元の式は20~30銘柄への分散を前提に設計された。候補をいくつに絞るにせよ、1~2銘柄に集中させるやり方はこの計算の前提と食い違うという点は知っておく必要がある。
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